MC Fashion Co., Ltd.

2025.12.24

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ワールドグループのエムシーファッション 幸社長執行役員が明かす重点施策

繊研新聞2025年12月24日付

幸社長執行役員

エムシーファッション(東京、旧三菱商事ファッション、MCF)は、ファッションとライフスタイル領域における課題解決型企業を目指している。来上期に新たな海外拠点を立ち上げるほか、無駄のない産業を目指す「ワールド・ファッション・エコシステム」の事業基盤拡充に貢献する。

ポジティブな変化

25年2月にワールドの完全子会社となったMCFは、グループ入り前後からPMI(買収後の統合プロセス)を進めてきた。幸晋也MCF社長執行役員は「当社は、ワールドの多角的な視点や機能を獲得することができた。非常にポジティブな変化があった」と振り返る。長年培ってきた生産調達力や貿易機能、金融機能、BtoB(企業間取引)のコーポレート機能などを生かしながら、グループの持つ小売りの知見や事業インフラとの融合を加速する。

一方、親会社がワールドになり、業界からは競合となるアパレルとの取引継続を懸念する声があった。幸社長は、「当社はワールド100%子会社ではあるが、親会社との間における情報管理は、厳格なファイヤーウォールを設けている」という。情報管理は、競合他社間のBtoB事業を担う企業の生命線であり、職業的倫理としての最重要事項だ。

「当社が目指しているのは、ワールドの生産調達会社ではなく、情報の安全性を担保した上で業界全体に機能提供するプラットフォーマーになること」と言い切る。MCFは、情報遮断についてワールドの経営陣と議論を重ねて、取引先の企画情報や販売データなどの「価値の源泉となる情報がワールド本体のブランドに流れることは、システム的にも運用的にも一切ない体制を敷いている」という。

規模拡大が必須に

MCFは、OEM・ODM(相手先ブランドによる設計・生産)事業をさらにブラッシュアップし、中期的にはOEM以外の事業モデルの開発や拡大を進める考えだ。「外部要因に左右され難い、新たな収益基盤の構築を目指す」という。コア機能である生産調達力の再構築と強化を進め、「顧客や市場との接点を増やし、ビジネスチャンスを確実につかむための取引規模の拡大」を必須の課題と位置付ける。

当面の重点施策としては、生産調達力強化に向けた海外拠点の再整備を図る。具体的には、26年上期中にベトナム、カンボジア、バングラデシュに拠点を立ち上げる予定だ。「新規顧客開拓に資する、競争力の高い工場の開拓を進めていく。未来に向けた最適なサプライチェーンの構築を進めていきたい」と意気込む。

同社は事業領域の拡大策として、CFCLに出資し、業務提携した。CFCLは、国内で自社工場の設立を計画しており、MCFはワールドグループの工場の設営・運営ノウハウを生かした支援も行う。また、CFCLフランス法人のパリ・オフィスに人材を供給。CFCLの海外事業や自社工場の拡大など、ブランドの成長を後押しする構えだ。

※この記事は『繊研新聞』の転載許諾を受けています。
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